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■ 雨ニモマケズ 風ニモマケズ



                                 2001 03 30





■ 東海道本線

夏の横浜駅のホームで僕は電車を待っていた。オレンジと緑のストライプが滑り込む。普通の電車の趣きとは違うそれに乗り込む。2人用のシートが2つずつ向かい合った窓際を陣取って走り出すのを待った。…電車は全てこういう座席にしたらいいのに 旅行気分で通勤できるのに 毎日同じことを思う。弁当とお茶を買ってどこか知らないところへ行ってしまおうか… いつもの調子でどうせやりもしないことを考えていると構内にアナウンスが響き渡った。
〜駅で人身事故のため この電車発車が遅れておりま…
日常のように起こるそれに誰も感情を揺さぶられることなどないのだろう。僕もいつの間にか特に想いを馳せることはなくなってしまった。機械的にホームに降りどうせ急いでなどいないのだからとベンチに座り復旧を待つことにした。さっき買った本を鞄から取り出す。『にんげんだもの』 相田みつを
先日友達から電話がかかってきた。何の用かと思えば聞かせたいものがあるから今から朗読してやると言う。「点数  にんげんねぇ 人から点数を つけられるために この世にうまれてきたのではないんだよ にんげんがさき 点数は後」 結局点数つけんのかよ と最後に友達は突っ込んだ。
意地の悪い気持ちでこの本を買ったのだ。真新しい折り目のついていないその本を最初から丁寧に捲った。想像以上だった。下唇を噛み笑いそうになるのを堪えできるだけ神妙な面持ちでいられるよう努力した。なぁ 当たり前だろう?心の中で呟く。どうしてこんなに当たり前で尤もなことをさも自分だけの癒しの言葉みたいに堂々と言うのさ どうしてこんな言葉で感銘を受ける人たちがいるのさ 根 とか 下水道 とか見えない大切なものが大好きなみつを なぁ それって当たり前じゃないの?どうして忘れてしまっている人たちがいるの?

可哀相だと憐れまれても僕は解からなくていいよ。

                                 2001 03 29





■ 銀木犀

夏にうまく馴染めない僕は秋を愛しいとさえ思う。余裕のない生活でも金木犀の香りで秋は存在を知らせてくれる。どんなに心がささくれていても少しセピアがかった懐かしい気持ちにさせてくれる。
プラタナスの並木道を歩く。乾いて少し丸まった落ち葉を踏む。シャンッ と気持ちのいい音がして僕は浮き足立った気分になる。ピョンピョンいい音のしそうな落ち葉の上を歩き うれしくなったりがっかりしたりする。そんなことをしているうちにもう家は目の前だ。最後の落ち葉は慎重に選ぼう。だってそれによってこれからの気分が決まってしまうから。

今年は銀木犀をこの目で見たい。そう思ってから何年経ったのだろう。

                                 2001 03 27





■ だらだら過ごすのも悪くない

急に春はやってくるもんだから僕の気持ちが追いつかない。駅へ向かう道、猫の額みたいな公園には桜の樹がひっそり1本だけ立っていた。週末になんか間に合わないくらいの満開っぷりで、僕は今日カメラを手にしていなかったことを悔やんだ。今がきっと最高の姿で明日から下り坂だ。 今日撮らなくてはいけなかったのだ。日本酒のせいでほろ酔い気分の僕は、夜また同じ道を通る。たった一本で僕を焦らすくらいの春の存在感を醸し出していたあの桜は透明に限りなく近い青で僕はもう一度カメラを手にしていなかったことを悔やむはめになった。うちの近所には造園業を営んでいる一画があり、まるで春のベスト盤と言わんばかりの風情だ。目の前を猫が一匹通り過ぎ、造園屋の柵をスルリと抜けた。枝にいくつものつぼみがついた白い花を手の感触で確認し (また今年もネコヤナギを思い出す前に春が来てしまった) と残念な気持ちにもなった。顔だけ後ろに向けながら通り過ぎた春を眺めた。別の猫が先ほどと同じ柵へ向かって歩くのが見えた。(猫もお花見か…) と思った瞬間僕はガードレールにぶつかり、急いで辺りを見回して猫に苦笑いした。

                                 2001 03 26





■ ただ春を待つのは哀しくも楽しく

見え隠れ 夢の夢



あなたにも届いたなら

                                 2001 03 24





■ 甘く苦く それは堕落じゃなく

さよなら 君の声を抱いて歩いていく
ああ 僕のままでどこまで届くだろう

これから傷ついたり 誰か傷つけても
ああ 僕のままでどこまで届くだろう

                              
楓 / スピッツ

僕のHNはここからとった。別にスラムダンクが特別好きとかそんなんじゃない。(バガボンドは揃えてみたい) 草野マサムネの言葉の選び方が好きだ。だから正直スピッツが売れるとは思っていなかった。"ねじまがっている" 僕の感性に賛同する人は極少数だと思っていた。難しい言葉じゃなくて 誰もが解かる言葉を繋げ 自分だけの世界を創る。それがどんなに難しいことか文章を書くようになってから気づいた。一番難しいのは「平凡」を表現することだ。何もないように見える日常で何を感じどう表現するかだ。いくらでも大袈裟にはできるよ。だけど僕は何気ない世界で生きていきたい。

                                 2001 03 23





■ マザコン

ジュースはあまり飲まない。家で口にするものは自分で作った麦茶。たまに買うときはお茶類か果汁100%のもの。オーガニック好きの母に育てられた僕は原色の食べ物や過剰に甘いもの、炭酸飲料水などを買い物カゴから無意識に排除する。ハギオくんもうまいと言っていた「にごり果実」に僕のアンテナは反応していた。コンビニで手にとってみたら想像していたものと大分違っていた。果汁33% ( !! )もうちょっとドロッとしたものを想像してたのにサラサラの飲料水だ。 微妙 すごく微妙。(お母さんゴメン)と呟いてカゴの中に入れた。全然期待しないで口に含んだ。…懐かしい味。ちゃんとリンゴの味がする。 病気の時に母がすりおろしてくれたリンゴの味だ。時間が経つと茶色くなっちゃうんだよなぁ… なんて感慨に耽りながらタバコを吸った。母の大嫌いなタバコを吸った。

                                 2001 03 22





■ 安心させてやるよ

大丈夫かと聞かれたら大丈夫と答える。
それ以外何て答えればいい?
本当はそれ以外の言葉なんて聞くつもりもないんだろ?

                                 2001 03 21





■ 欠片

文章を書くときにジレンマを感じる というような内容を人と話した。こんな風に感じているのに輪郭がはっきりとせず 的確な言葉が見つからなくてどう表現していいのか分からない。文章を書かずとも誰もが感じたことのあるものだと思う。それは多分ジグソーパズルだ。ぴったり合うピースを探しあぐねて。だけどそれを見つけて一つ一つ繋がっていったらすごくワクワクするんだ。ピースは多いほうがいい。僕はピースを増やすためにもっともっと言葉を知りたい。感じたことを完全にうまく表現するなんて一生かけても出来ないんだろう。だけどそのジレンマがもどかしくって僕は夢中になっている。ジグソーパズルだって完成してしまったらもう面白くないんだよ。

                                 2001 03 20





■ 被害妄想

「小動物と暮らす」という本を読んでいた彼女は読後当たり前のように影響され「フェレットがほしい」と言いだした。イタチ科のキツネのえりまきみたいな動物だ。僕は「小さなサメがほしい」と言ってみたがそんなんじゃ癒されないと却下された。小さい鮫は精巧に作られたミニチュアみたいだよ ちゃんと鋭い歯だっていっぱいついてるんだ とその素晴らしさを伝えようかと思ったけど逆にフェレットの素晴らしさを熱弁されて買わされる羽目になったら目も当てられないのでやめた。「私が居てあげなきゃ生きられないって感じがいいの 手の上にその小さくて柔らかい塊を乗せて私も癒されるの」 フェレットは多分手の上に乗る大きさじゃないよ と言おうかと思ったけどなんだか構ってやらない自分を責められているような気もしてきたのでやめた。

                                 2001 03 18





■ ナマステ

僕のうちの近所には白い壁をしたインド料理店があって引っ越してきた当初から一度は行ってみようと思っていた。その店は近所とさっぱりマッチングしていないのだけれど夜になればどこから来るのか席はカップルで埋め尽くされる。店先にはコースのメニューが出ていたりイルミネーションで彩られたりで僕には理由の一つでもなければ入ることができなそうな雰囲気だ。まぁ歩いて3分の場所にあるんだから焦る必要はない。早い話僕が理由を作る前にその店はアンティークショップになってしまった。世の中そんなもんだ。不変なものなどないのだからさっさと行動しましょうってお話。

                                 2001 03 17





■ 君はTVっ子

石橋貴明の動向に辟易する というよりもだんだんカワイソウに思えてきた。 世界水泳選手権のCM 最後に速水亜矢が目を輝かせて振り返るシーンを見るとどうしても笑ってしまう。 探偵ナイトスクープの西田敏行に慣れない。桂小枝と岡部まりがいるだけでよしとするべきか。

そんな感じで今日僕はTVくらいしか見ていないのです。

                                 2001 03 16





■ 俗界探険隊

昨日の更新報告に 「ラブホテル」 と書いたらなんだか人が3倍くらい来た。人の興味をひくものはやっぱりこういうことなのかと複雑な気持ちになった。今日は何にしようか。「無修正画像」とか「幼児監禁」とか書いてやろうか。

知り合いにこのサイトが見つかった。新しいサイトを作ったことは知ってたにせよ 実際に見つけるとは思ってなかったからひどく動揺した。URLもメールアドレスも違うものを使ったし 細心の注意をはらっていたつもりだ。なんで分かったんだろう。 僕の向上しない稚拙な文章に気づいてしまったんだろうか。



                                 2001 03 15





■ 駄文

「きれいなことばかり書いてるサイトを人はあまり見ないよ」
なるほどねぇ。確かにね。毒舌だったり言及したりするサイトのほうがオモシロイのかもしれないな。

久しぶりに人の体温を感じた。入ったラブホテルは外観にそぐわないチープな和室で 「連れ込み宿みたいだ」 と二人で笑った。布団の中で初めてそのコの顔をちゃんと見た。「あ 八重歯あるんだ」 うん、と答えて彼女ははにかんだ。なんだか突然彼女が愛しくなってそっと頬を触った。連絡先も知らないし名前すら本当なのか分からない。だけどその時の彼女はリアルだったしそれだけで僕はよかったんだ。

                                 2001 03 14





■ 真実の物語

映画くらい夢を見させて と思う人もいるだろうけど僕は実話や現実的な話が好きだ。今つけてたTVで始まった「バルト」をなんとなく見てたけど最後には涙すら浮かべてしまった。吹き替えじゃなかったことに感謝だ。(柴田恭兵がやっているらしい) スピルバーグの映画は「バック トゥ ザ フューチャー」くらいしか見たことなかったんだけどな。
明日は試写会に連れて行かれる。「アタック・ナンバーハーフ」というタイのオカマバレーボールチームの話。生まれ変わったら女の人になりたい僕もオカマみたいなもんなんだろうか。「PARTY7」「初恋のきた道」それから「サトラレ」もすごく気になる。純粋に弱い。それは僕が大人になってしまった証拠だ。

                                 2001 03 13





■ 方法が間違ってた

「ごまプリン」 が作ってみたくてしょうがない。
型を入手しようとプッチンプリンを3つ食べた。
もうプリンはいらないやと思った。

                                 2001 03 12





■ 僕はいつの間にか大人だった

最近になって初めて僕はマフラーを「スケーター巻き」してみた。
あれっていくつの人までやっていいんだろう。
何だか年齢制限があるような気がしてドキドキしながら渋谷の街を歩いた。

 ← コレ 後ろで結び目を作るやつ

                                 2001 03 11





■ 自意識過剰

結局僕は俗物のようでやっぱりアクセス数が気になるところ。サイト作ってる人のほとんどがそうだとは思うんだけど 原点に戻って1から始めようと思うと誰かに見てもらうって本当に大変なことなんだなと実感する。リピーターを作るには多くの人の目に触れてもらわなければいけないわけで。文章を書いてお金をもらえるほどの力量があるならいざ知らず素人が魅せるものを作るって難しい。自信もないくせにこのアクセスが評価だと受け止められない僕はほんと俗っぽいし これからも悪あがきすると思う。

                                 2001 03 10





■ 細い路地

午前2時にタバコを買おうとマフラーをぐるぐる巻いて外へ出た。
一人でトトトトと歩いている白い犬とすれ違った。
それはあまりに自然な流れですれ違うまで犬だってことに気づかなかったくらいだ。
おや?と思って僕は振り向いた。
犬も振り向いて僕を見た。
むこうも僕が人間だってことに今気づいたのかもしれない。
そのまま僕達は鏡みたいにずっとずっと見つめ合っていた。

                                 2001 03 08





■ フェイク

「危険に対する鈍感さ」「一番怖いことは死ではなく自分の命に対しての無関心さ」と沢木耕太郎は書いていた。確認しようと「深夜特急」をパラパラ捲ってみたものの、どこの国のどの場面だったのかそれすら曖昧で見つからない。だけど確かにそんなことを言っていたと思う。その感覚が今の僕ならわかる。僕も深いところで腐りかけているものがあると感じずにはいられないから。

なんて刹那ぶってみたところで僕が一体何をわかったと言うのか。何もわかってやしないよ。

                                 2001 03 06





■ 僕の身体を100篇焼いても構わない

「銀河鉄道の夜」が好きだ。宮沢賢治の原作でもいいけど、アニメになっているネコのやつが特にいい。厳格な家庭で育った僕が観たものといえば TVだったら「NHK」 映画だったら「文部省推薦」と銘打ったものばかりだった。これもそうだ。小学生だった僕は母に連れられて観に行ったのだ。細野晴臣の音楽も ジョバンニの住んでいる町も 全体的に暗い世界も 何もかもがよかった。きっと子供が理解し好感を持つ内容ではなかったと思う。
今観なおしてなんて渋い小学生だったのかと苦笑した。そしてこの映画のイメージがどれだけ僕の頭に残っていたかを思い知った。赤い屋根に白い壁 坂や階段の多い細い石畳の道。そこへ行ってみたかった。そんな風景に憧れを抱いた。だから地中海に惹かれたのだ。きっとギリシャやイタリアに無意識にあの町を重ねていたのだ。

                                 2001 03 04

































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