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■ 水色の空に浮かんでいた白い三日月が素敵だったことをどうやって伝えようか

 「スプートニクの恋人」を読んでいる。小説家になりたいスミレは気の利いた一節があるとそこに鉛筆でしるしをつけた。僕は今日からシャープペンを持って本を読むことにした。素敵だと感じたらそこに横線をひく。見逃さないように一文一文反芻する。
 この本に特に新しいことはない。今まで世に出てきた村上春樹の小説から一部分一部分を切り取ってできたような話だ。まだ半分しか読んでいないが僕はそう感じたし、きっと最後までこんな調子だと思う。それでも僕の「しるし」は半分で膨大な量になった。そして僕はまたそこを読み返す。 〜みたいな 〜のような そんなところばかりだった。村上春樹の文章は比喩表現だけで出来あがっているんじゃないかと思うくらいだ。僕は苦笑いした。やっぱり自分に足りないものを無意識に欲しているのだな、と。
 初めて文章というものを書いたのは自分のサイトを作ったときだ。とりあえずサイトを作ることが目的で、何かを表現したかったわけじゃない。僕には趣味と断言できるほどのものなんて何ひとつなかったし、人より際立った情報も持っていなかった。日記なら簡単にコンテンツとして成り立つように思えた。だから安易な気持ちで「文章を書く」ことに手をつけた。縦書きの文章を書いてみようなんて思いもしなかった。最近まで原稿用紙に書く縦書きの文章ってものが存在することすら知らなかったみたいに、そんな考えは頭からすっぽり抜けていた。「何か書いてみればいいのに」 自分で綴ることは可能なんだとその言葉で初めて気づいた。
 比喩表現が苦手だ。現実は書けてもイメージができない。僕のアンテナは自分のメンタルな部分にばかり感度がいい。目の前の果物を忠実に描くことならできる。だけど創作や想像をさせたら笑っちゃうくらいに悲惨で薄っぺらい。感性は頑張って良くなるものではないと思う。人格形成時の環境とか、乱暴に言ってしまえば才能だと思う。それは言い訳だろうか。 何かを綴りたい。 そんな気持ちになったからこのサイトを立ち上げた。練習はしてみても、臆病な僕には原稿用紙の一文字目を書き出す勇気がない。

 まるで脱いだばかりの汚れた靴下が床にべろっと落ちているのを、遠くから眺めているみたいな

 理解できることと表現できることは違う。

                                 2001 04 28





今日はカメラを持ったまま、めずらしく交通機関を使いました。 枚数少な目。

                有楽町線

                                 2001 04 26





■ 耳をいつも澄まして 17歳の僕がいた

橋の笂(たもと)には高校が2校向かいあって建っている。僕の毎日の目的地はそこから10kmも離れたところにあった。橋を渡らないと学校へは行けない。毎朝川の流れに逆らうように自転車を進める。橋の上の全ての人の視線がこちらに向けられているような気がした。ひとりだけ進む方向が違う僕はそれに人生を重ね焦りを感じた。あの頃の僕は毎日が憂鬱で自意識過剰だった。僕は多分高校での生活を人の半分も過ごしてない。行かなかった理由は簡単だ。あの橋を渡るのが嫌だった。ただそれだけだ。

皮肉にもそこから僕の人生は人と別の方向に進んでいったのかもしれない。今でも僕の毎日は憂鬱で自意識過剰なものだけど、きっと今ならあの橋を渡れるような気がする。顎を上げて人を見据えて、堂々と風を切って。そして僕はやり直したいとは思わない。

                                 2001 04 24





■ 危うい均衡

アナザヘヴンが好きだ。人間の闇の部分を刺激する紫の石。ナイトヘッドもよく見ていたから飯田譲治が好きなのかもしれない。本上まなみはかわいい。かわいい、というかあの人はすごく危うい均衡の上に成り立ってる顔だと思う。手放しできれいだと言う人もいるけど、僕にはそう思えてならない。だから気になるんだと思う。 たまに見せる素敵な表情を見逃さないように。
友達にも本上まなみを大好きなヤツがいて、前に彼の家で写真集を見せてもらったことがあった。当初僕は本上まなみにそれほど興味を持っていなかったから、どうしてこんな危なっかしい顔の女のコをいいと言うのか分からなかった。
「本上まなみのどこがいいの?」
「例えばセックスするときにどういう顔をするのか想像がつかないところ」
「…なぁ、女のコ見るときいつもそんな風に見てるの?」
「当たり前だろ、もう全て視姦だよ」
「もしかしてお前の彼女も…」
「うん この人はセックスするときどんな顔すんだろう、と思って」
普通 笑った顔がかわいい とか 表情が豊かだ とかそんな分かりやすいところに惹かれるんだと思う。彼の彼女は無表情と言っても過言ではなかったし、かわいいか美人かと言われれば美人?程度のコではっきり言って僕には良さが分からなかった。セックスアピールの強い女ではなく、想像のつかない女性に惹かれる。その答えはおもしろかったし、気持ちいいくらい僕を納得させた。
無表情。 本上まなみと彼女の接点。

後日彼からメールがきた。
−ここのURLの100の質問の95の答見て−

95 男女の友情は成立すると思いますか?
成立すると思います。恋愛感情がなければね!


当たり前すぎて笑ってしまった。恋愛感情がなければそりゃ成り立つよ。ご名答。そして全ての女のコを視姦する彼には成り立たないだろうなぁ と思った。
僕なら何て答えるだろう。

                                 2001 04 22





■ ねじまき人間

西新宿の威圧感ったらいつまで経っても慣れないよ。要塞みたいな冷たいビルにすごい数の企業が詰まってて。その中にまたものすごい数の人間が詰まってる。バカみたいに口をあけて曇りひとつなさそうなビルの窓を眺めてたら案の定眩暈がした。こんなところで働けないよ。スーツ姿のサラリーマンもあの生保のおばちゃんも絶対背中にネジついてるね。キリキリキリ… って毎朝巻いてんだよ。

                                 2001 04 19





■ いつだって遠くにいるのに、何を感じられるって言うんだ?

誰かに必要とされている と感じることで自分の存在理由を見出す。すごく簡単ですごく浅はかでだけどすごく分かり易い。そしてすごく恐ろしい。この人に必要とされているから自分は生きている価値がある。誰かがいないと自分を見失ってしまうから、自分はこの人に必要とされているはずだと言い聞かせる。その対象は恋人である場合が多い。僕はいい加減臆病になっている。自分の存在理由が突然消えるんだ。唯一の存在理由がなくなってしまうんだ。そんな恐いことってあるかよ。だから常にその対象が消えたことを想定する。もう二度と同じ痛みを味わいませんように、そう祈りながら。

僕はキミに何て声をかけたらいいのだろう。「個人的な理由だ」「メールはいらない」 だけど僕はなんとなく気づいてしまった。いや、そうじゃないかって思ったら親しいふりで連絡をとる行動が出来なくなった。一体自分はキミに何をしてやれる?黙って放っておいてやるのがやさしさってもんじゃないだろうか。傷口を見せたくないのなら気づかないふりをしてやるべきじゃないのか。話したくなったら話せばいい。いつも通りの持論。

ずっと気になっていた。あのとき僕は放っておいてほしかった。だけど本当は何を望んでいたのだろう。僕は一体何に救われたんだろう。繰り返す。『自分はどうして欲しかった?』

僕はメールを打った。250文字めいっぱい打った。話したくなったら話せだなんて横暴なのもいいとこだ。そんなの自分で全て解決しようとするに決まってるじゃないか。誰かに迷惑をかけるくらいなら、自爆装置のスイッチを押すよ。僕の勘違いじゃなければキミは僕と同じ側の人間だ。言わなくても分かるだろうとじっと待ってみたところで、相手のことまで考えて一周して話し出すはずなんかない。なぁ、迷惑をかける相手の気持ちと自分が傷つきたくない自己防衛と、それに気づいてしまってるんだろ?勘違いでも構わない。迷惑だったとしても構わない。キミが僕のことをそれほど親しいと思ってなくても。僕を存在理由にしてくれだなんて言うつもりもさらさらないけど、キミがいなくなったら僕は必ず後悔する。

返信なんかいらない。どうすることもできないだろうとキミも僕も解かっているけど、それでもギリギリの時は頼ってほしい。

伝わればいいと思った。ウザいと思われても構わなかった。ただ 『大丈夫だ』 とは言ってほしくなかった。僕は物分りのいいふりをしながら、逃げていただけなのかもしれない。偽善のような言葉を吐き出す自分の姿ばかり想像して恥ずかしいとすら思っていた。素直な気持ちほど言いにくくなっていた。

携帯がメールの着信を知らせる。いらないと書いたはずの返信。精一杯の2行。僕はそれを見て泣いた。どうして僕が泣くのか分からなかった。自己満足かもしれない。こんなときですら僕に気を使って言葉を選んだであろう 彼を思ってかもしれない。僕には分からなかった。

                                 2001 04 17





■ 気まずいだなんて思わないでほしい

思ったことが頭で瞬時に言葉へ変換されない。僕は宙を眺めながら浮かんでいるはずもない言葉を探すんだけど、大抵僕が口を開く前に話題は次へと移っている。
口論は苦手だ。討論も苦手だ。コミュニケーションをとることに向いていないんだ。
決して放棄しているわけじゃないけど、本当の気持ちを見据える時間を僕にくれないか。いい加減な上辺だけの言葉なんて言う術を持ってないから。思ってもいないことをぺらぺら喋れたらいいのにって本気で思うのはおかしいのかな。嘘が吐けない自分ってのも案外辟易するもんだよ。

                                 2001 04 15





■ グラン・ブルー

ただの環境映画くらいに思っていた。青い海とイルカと ただそれだけだと思っていた。セピア色のギリシャの風景。だけど僕には色が見えた。そして漠然と この映画を好きになるって確信した。

途中で隣を見たらキミは寝ていたね。どんだけ無防備なんだ ってちょっと笑ったよ。そして僕の前でだけならいいのにってちょっと思ってしまったんだ。

                                 2001 04 14





歯が痛むので頭がうまく働きません。とりあえず photo 今日の分アップしました。ヒマと忍耐と撮ったものを何でもかんでもアップする僕を許す慈悲の心を持っている方は見てやってください。

               20コマの180分

                                 2001 04 13





■ Undo (アンドゥ)

薄暗い部屋で僕はぼんやりと緑色に光った液晶画面を眺めている。何を思うでもなく一定の時間が過ぎるのを待ち留守録のボタンを押す。最初からプログラムされていたみたいに。
キミは気づいているはずだ。明らかに避けていることを。だから留守録にメッセージを残さないんだろ?キミは僕に重たい気持ちを喋り過ぎたよ。独占欲なんて今は見たくない。 他人のも自分のもうんざりだ。今まで通り適当に遊んでいなよ。恩着せがましく僕一人だとか言うなよ。悪いけど割り切って利用する気にもなれないんだ。利用してやれたらどんなにいいかって自分でも思うけどさ。

束縛の重さが傾いてしまったらあとは崩れるだけ。だから僕は淡白なふりをする。

                                 2001 04 11





■ 返信

キミの言うことは全くもってその通りだと思う。僕が薄々感じていながら輪郭をなぞれないでいる感情をキミははっきり言葉にする。
>彼の意識は全て外側に向けられている。
>僕の内(感情)があまり感じられないのです。
僕は彼に憧れていたし、それはこれからも変わらないと思う。だけど僕は彼を信じていないし、自分の内を曝け出そうとも思っていない。ズルイやりかた。所謂「相手に合わせる」方法。大人だなんて言うつもりはなくて、僕はただ自分が傷つくのが怖いだけだ。だけどあの温和な世界が本物なのか確かめたい。違うな、あの世界が一部なのか全てなのか、それが知りたいんだと思う。

僕はキミにも憧れる。とても矛盾しているけど。僕はとても中途半端だ。中途半端に正直で中途半端に嘘を吐く。そして両極端な人に惹かれる。解かりやすい人と解かりにくい人。結局はどちらもその本音が聴きたい訳で求めているものは同じなんだけど。

何を言っているのか分からなくなってしまったね。伝えたいことはさ、キミはキミでいいと思うしうまく立ちまわるキミなんて見たくないってこと。僕の意見になんか左右されなくてもいいってこと。それからキミと話すときに僕は正直でいようと思っていること。そして、こうしなければいけない物事なんてひとつもないってこと。

                                 2001 04 08





■ 糸の先 意図の先

吉田修一の「熱帯魚」を読む。僕は違和感をおぼえていた。最初から、1行目からそれを感じた。なんだ、コレ。原因は解からない。

午後の紅茶、ユニクロ、浜崎あゆみ 現代文学を好む僕でさえ目を疑いたくなるくらいの現代。途中まで男だと何の疑いもなく読み進め、突然裏切られた「先生」の性別。きっと作者にもそういう意図はあったのかもしれない。だけどこの奇妙な感覚は明らかにそこからではない。

気持ちが悪い。喉に刺さった魚の小骨は取れそうで取れない。指を突っ込んで涙目になっているうちに呆気なく「熱帯魚」は終わってしまった。次を読む前にどうしてもなんとかしておきたかった。もう一度読むか… 自分に半分苛立ち、半分諦め、閉じた青の装飾をまた開く。

大輔はドアノブを引く手を止め、何気なく

慌ててランダムにページを捲りいくつかの文章に目を通す。曖昧は確信に変わる。この小説は第三者の視点で描かれていたのだ。主人公は終始「大輔」であって「僕」や「俺」や「自分」ではないのだ。
語部が必ずしも主人公ではない場合もあるが、「熱帯魚」は登場人物の誰でもない。何てことはなかった。だけど僕はこんな手法を見たことがなかった。いや、もしかして今まではそんなことも疑問に思わずいくつもの本を閉じていたのかもしれなかった。僕は僕の視点からしか文章が書けない。「僕」が「俺」になっても「私」になってもそれは自分で第三者ではない。シナリオのような小説。舞台ではなく観客席に立つ監督。僕はいつも冷静に第三者を装っていたつもりだった。だけど本当は自分でいっぱいなことに気づいていなかった。

                                 2001 04 07





■ 絵日記

こんなところに行ってきて



こんなところで食べてみた。



最後まで味噌ラーメンがミソ味と認識できなかった。


黄色くなった壁紙に囲まれている僕は緑のある生活を始めることにした。



セッセと酸素作り出してくれよ。
あー 早速水やりすぎた。
水素とか出しませんように。

                                 2001 04 06





■ 川崎競輪

いつもの道にいつもの焼きいも屋。いつもは横目で通り過ぎるけど、そろそろいつもは終わるかもしれない。 1本ください おじさんに声をかけると蓋を開けて選ばせてくれた。じゃぁ、これ と指差すと量りに乗せ「650円、600円でいいや」と言う。本当は元々600円だったのかもしれないけど僕は単純にうれしくなり「ありがとう」と笑ってそれを受け取った。例え嘘でも気持ちの良い嘘なのだから吐いてもらったほうがいい。瞬時に疑う僕は相変わらずゲスい。
気候はちょっと暖かくなりすぎた。だけど家に着くまでの距離がもどかしかった。早くあの黄金色が見たい。そればかり考え早足で歩いた。ふと手元を見る。温かいそれは競輪新聞に包まれていた。そうそう、やっぱりこうじゃなくっちゃ と妙に納得すると同時にあのおじさんは毎日いたわけじゃないんだな と気づいた。きれいに袋状になっている新聞ののりしろを見ながら 内職のように袋を作り続けるおじさんや奥さん、沢山のハンチング帽と歓声や怒鳴り声の競輪場を思い浮かべほほえましく思った。

                                 2001 04 04





■ 時給5000円

面倒臭い。きみが僕を必要とするほど僕はきみを不必要だと思う。何を求めているの?安心? 救い?罪悪感があるからお金を出すの?これはビジネスか。
「お願いだから下の名前で呼んで」
じゃぁカシスソーダの代金をそこに宛がうことにしよう。

                                 2001 04 03


































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