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川崎競輪
 
 いつもの道にいつもの焼きいも屋。いつもは横目で通り過ぎるけど、そろそろいつもは終わるかもしれない。 1本ください おじさんに声をかけると蓋を開けて選ばせてくれた。じゃぁ、これ と指差すと量りに乗せ「650円、600円でいいや」と言う。本当は元々600円だったのかもしれないけど僕は単純にうれしくなり「ありがとう」と笑ってそれを受け取った。例え嘘でも気持ちの良い嘘なのだから吐いてもらったほうがいい。瞬時に疑う僕は相変わらずゲスい。
 気候はちょっと暖かくなりすぎた。だけど家に着くまでの距離がもどかしかった。早くあの黄金色が見たい。そればかり考え早足で歩いた。ふと手元を見る。温かいそれは競輪新聞に包まれていた。そうそう、やっぱりこうじゃなくっちゃ と妙に納得すると同時にあのおじさんは毎日いたわけじゃないんだな と気づいた。きれいに袋状になっている新聞ののりしろを見ながら 内職のように袋を作り続けるおじさんや奥さん、沢山のハンチング帽と歓声や怒鳴り声の競輪場を思い浮かべほほえましく思った。
 






























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